shiroxuma’s blog

東京のすみっこで楽しく暮らす20代OL(?)のブログ

日系企業勤めが日経トレンディ2月号を読んだ

こんにちは、しろくまです。日系製造業に勤めて早数年、いわゆるJTC(Japanese Traditional Company)ってやつです。

日経トレンディNo.488 2022年2月号の『THE RAMPAGE from EXILE TRIBE-デビューから5年。突き進む16人のチーム論-』を読みました。

THE RAMPAGEはアーティストグループですが、LDH(所属事務所)を会社、THE RAMPAGEを部署と考えると、日系企業勤めにも普段の仕事をする上で参考になる部分がたくさんあるインタビュー記事でした。

 

デビュー5年で達成感はあるか

これには全員、ざっくり言うと「まだまだ」といった回答。アリーナツアーの動員数や、去年は(イレギュラーな形ではあったとはいえ)東京ドーム公演も成功させたTHE RAMPAGEですが、やはりEXILEという圧倒的な存在があると、目標も常に高いものになるんでしょうね。

自分は入社した時点で(THE RAMPAGEでいうなら正式メンバーに選ばれた時点で)達成感を感じてしまって、その後しばらくは何もできませんでした。日系企業は基本的に福利厚生が手厚く、すぐに解雇されることもないので、入社してしまったもの勝ち、という感覚があります。

だからこそ常に前進し続けるTHE RAMPAGEを見ていてすごいなぁ、よくそこまで頑張れるな……という気持ちになっていました。LDHは比較的仕事が少ないであろう所属アーティストも、「いい暮らし」をしているそうです。つまり、頑張らなくてもある程度の生活・収入は保障されているらしい、のですが、それでも上へ上へとモチベーションを沸き立たせられるのは、EXILEという大きな背中を見て育っているからでしょうか。

山彰さんの言う「夢をかなえていく過程で新しい夢や大きな目標が見えて」というのは自分も仕事で多少実感しているところで、できることが増えて、実績を残していくと、それをさらに拡大していくイメージで次のステップに進みたい、とも思えるようになってきました。一方で、できることが増えた分、そのできることを死守して・繰り返していれば楽に「働いているフリ」ができて、お賃金が貰えるな、という甘えも確かに自分の中にはあります。

新曲RAY OF LIGHTの「抜けるハビタブルゾーン」という歌詞が印象的でした。ハビタブルゾーン、は直訳すると「(宇宙における人類の)居住可能区域」だそうですが(曲は全体的に宇宙をイメージした歌詞です)、habit、という単語は「習慣」を意味します。習慣的にやっている・できる領域に留まっていないで、困難なことにも挑戦してみなよ、そういないと成長できないよ、と諭されているような気持ちで聞いています。

陣さんの「自分のアイデアでヒット商品を生み出した人は『自分の力』だという実感があると思うんですけど、今ある商品のパッケージを新しくしても、もともとの製品があるから成立したと感じますね」という発言は、ずっと芸能界で活動してきていながら、よく企業人の感性を理解しているなぁ、と驚きました。大きな会社にいると、例えば既存商品のシリーズとして新商品を出したとしても、それは既存シリーズのブランド力があったから企画できた。設計できた。売れた。と感じてしまいます。それなら、と全く新しい新シリーズを出したところで、結局は社名のブランド力のおかげで売れたのでは、と感じてしまいます。原料・パーツをどこから調達するか、品質規格書のひな型は?、パッケージデザインはどこに外注する?社内デザイナー?、販路は?営業戦略は?何もかも、すべて既存商品によって組み上げられたフローが存在するから、スムーズに新商品を「作れる」のです。

LDHも「アーティスト活動」「ライブ運営」の面では伝統的大企業です。ノウハウがしっかり蓄積されていることでしょう。いつから会場を抑えて、これくらい売れているグループにはどの程度の観客数の動員が見込めて、告知はどのようにして、チケット販売はどこに委託して、音響・照明・メイクなど様々なスタッフはいつから何人用意して…と。裏方だけでなく、アーティスト本人たちの「魅せ方」「演出」も、おそらくEXILE、三代目JSBをはじめとして先輩方のステージを参考にできるでしょう。それでも、「それ」はオリジナルではない、自分たちのオリジナリティを、創意工夫をお客さんに見せなければ、という意識が普段の(別の)インタビューやブログなどから感じられて、その姿勢に自分も仕事頑張ろう、「ハビタブルゾーン」を抜けよう、という気持ちにさせられます。

 

目指すところ

これって企業で言えば「ビジョン」だと思うのですが、RAMPAGEの場合はHIROさんが具体的にメッセージを伝えてくれるとのこと。「ドームツアーが回れるアーティストになるように会社、タイアップ、取材などスタッフが動いています」といった具合に。そして、メンバー各々が「そこに向かうために、いま自分たちは何をすべきか」を考えるそうです。これ、めちゃくちゃ強いな、と思いました。

自分の例で言うと、経営者のビジョンは社内外に公表されていますが、正直、新入社員の頃は「社長のありがたいお話」みたいな時間は意識が飛んでいました。今思えば、上司や先輩たちはきちんと会社方針・動向をチェックしていたのですが……。でもこれって本当は会社組織的にはすごく重要で、それに沿って社員が動かないと目的の方向に進んでいけない=目標達成速度が遅くなる・無駄が多くなるので、トップダウンな社風ならばトップの意向は注視すべきだなと今では反省しています(偉い人の鶴の一声で爆速で仕事が進むのはトップダウン型の強みなので)。

うちの部署で言うと、まず役員が「君たちの部署にはこういうことをやってほしい」と言ってくるのですが、それをヒアリングする部長がどうもへたくそで、経営層の方針が正しく伝わってこない時期がありました。HIROさんのように、経営層から直接、社員に「会社としてはこういう方向に進みたい。だから君たちの部署にはこういうことをしてほしい。そのために予算はいくらで…」と説明を貰い、社員一人一人が「その業務を進めるためにはこういう作業が必要だから、自分はこれをやったいいのではないか」「こういうスキルが必要だから身に着けよう」と自分事化して前進できたら理想的なのでは、と思います。

 

個々の仕事、セカンドキャリア

一部メンバーは映画やドラマへの出演が増えています。新規ファン獲得に重要な役割を果たします。逆に、グループ内を充実させるメンバーもいます(例えば、ライブの構成を担う山彰さん、DJが出来る翔平さん、トラック制作が出来る龍さん)。また、「司会役・トーク」でグループ内外両方の仕事をこなす陣さんもいます。

THE RAMPAGEは歌のプロが3人、ダンスのプロが13人集まってできた16人の専門家集団ですが、活動を続けていく中で歌・ダンス以外の業務実績・スキルを伸ばしている最中です。それを、それぞれが前向きに、またお互いを応援しながら取り組んでいるところが理想的だなと思います。

翻って自分の職場で考えてみると、例えば北人さんは俳優仕事が多いですが、「なんで北人さんばっかり。顔で贔屓されてる」と妬む人もいると思います。また、連携がうまく取れていなくて、「え、ライブ構成はもう山彰が作成済みですよ?なんであなたも構成案作ってるんですか?二重作業になっちゃってますよ?え?やることが無いから勝手にやってた?なんで早く上司に相談しなかったんですか?管理職は何を管理してたんですか?」みたいなことが起きていました。どう考えてもチーミングに失敗しています。

ある程度同じ領域にいる専門家の部署が、細部に関しては個性(スキル)を持って分担して業務推進していく、ということを考えたときに、THE RAMPAGEはお手本になる部分が大いにあると思います。ぜひ組織づくり・組織運営の本を出してほしいです。笑

特にダブルリーダーのチーム論は聞いてみたいです。傍から見ていると、どっしり構えてメンバーの意思を尊重しつつも困ったときには相談に乗ってくれるLIKIYAさん/普段からメンバーの細々したことを注意しつつムードメーカーな陣さん、という、部長と課長みたいなお二人のおかげもあって、THE RAMPAGEはいいチームなんじゃないかな、という印象を受けています。

読もう読もうと思いつつ本棚の肥やしになっている本。

 

また、陣さんが「40歳を超えたら踊れなくなるかもしれないんですけど、そのときにお金を稼ぐ方法は~」と現実的な発言をしているのも印象的です。LDHのオタクなら実感として分かっていることですが、特にパフォーマー(踊る方の人たち)は年齢によるキャリアの限界があって、そこに向けてセカンドキャリアを意識して若い頃から試行錯誤しています。というのも、EXILEのHIROさんをはじめ、複数人の先輩方が引退していく様を目の当たりにしていますからね。実際には、アーティストではない(芸能人ではない)、プロのダンサー仲間も多いでしょうから、もっと多くの知人のダンサー引退を知っているはずです。そして、先輩方も引退に向けて、アパレルブランド・コーヒー屋・酒屋など様々な副業をこなしています。

一般会社員も、人生100年時代となってセカンドキャリアを考える時代になりました。また、変化が目まぐるしい世の中において、就職までに身に着けた専門性(その技術はどんどん時代遅れになっていく可能性がある)一本でリタイアまで勝負するのではなく、キャリア人生の途中で大学に通いなおすなどして第二の専門性を身に着ける生き方も提唱されてきています。このような世の中で、LDHのダンサー(パフォーマー)の生き方は参考になる部分があるのではないでしょうか。日経系列の雑誌で、ぜひまたインタビューをお願いします!

 

終わりだよ~